米国食品医薬品局(FDA)は2023年12月8日、遺伝性の血液疾患「鎌状赤血球貧血症」に対応するゲノム編集技術を利用した世界初の治療を承認した。
この治療は、米バイオ企業のバーテックス・ファーマシューティカルズとスイス拠点のクリスパー・セラピューティクスが共同開発したもので、鎌状赤血球貧血症の患者で血管閉塞性危機が定期的に起こる12歳以上の人が対象となる。
治療では、患者から採取した造血幹細胞をゲノム編集技術で遺伝子改変し、それを注射で体内に戻す。事前に抗がん剤を投与(化学療法)して、元々持っていた造血幹細胞を除去する。
鎌状赤血球貧血症は、本来は円盤状の赤血球が三日月のように変形する病気だ。変形した赤血球が血管に詰まり、激しい痛みや臓器損傷が生じる。
FDAによると、鎌状赤血球貧血の患者は米国内に約10万人おり、主に黒人の患者が多い。
今回の承認は、ゲノム編集技術の医療応用における大きな進展として注目されている。
米ホワイトハウスは承認を受けて、「この医学的進歩には、さらなる命を救う治療の開発の可能性が秘められている。他の希少疾患とともに生きる何百万人もの米国人に希望を与えるものだ」と歓迎する声明を出した。
今回の承認で、ゲノム編集技術に対する関心がさらに高まりそうだ。
現在、同技術を利用したHIVやガン、希少疾患などの治療の開発が進んでいる。
今後、ゲノム編集技術がさまざまな難病の治療に実用化されることが期待されている。
クリスパー・キャス9とは、細菌がウイルスから身を守るために進化した免疫システムを利用したゲノム編集技術です。
細菌のゲノムには、ウイルスのDNAと似た配列が存在しています。クリスパー・キャス9は、この配列に結合するガイドRNAと、DNAを切断する酵素であるキャス9から構成されています。
ガイドRNAは、特定のDNA配列に結合するように設計されています。キャス9は、ガイドRNAに結合したDNAを切断します。
この仕組みを利用することで、目的のDNA配列を削除したり、別のDNA配列に置き換えたりすることができます。
クリスパー・キャス9は、従来のゲノム編集技術と比べて、以下の点で優れています。
これらの特徴から、クリスパー・キャス9はさまざまな分野で応用が期待されています。
例えば、医学分野では、遺伝性の疾患の治療や、がんの治療に応用されています。
農業分野では、作物の品種改良や、病害虫への耐性向上に応用されています。
工業分野では、新素材の開発や、環境汚染の防止に応用されています。
今後、クリスパー・キャス9のさらなる研究開発が進むことで、さらに幅広い分野で応用されていくと考えられます。
米食品医薬品局(FDA)と英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が、鎌状赤血球貧血症の患者を対象としたゲノム編集治療を承認した。
この治療は、患者から採取した造血幹細胞をゲノム編集技術で遺伝子改変し、それを注射で体内に戻すというもの。
鎌状赤血球貧血症は、赤血球が三日月形に変形して血管に詰まり、激しい痛みや臓器損傷を引き起こす遺伝性の血液疾患。
これまでは、HLA型が一致するドナーから造血幹細胞を移植する以外に治療の選択肢がなかったが、今回の承認で、HLA型が一致するドナーが見つからない場合でも、治療が可能となった。
今回の承認は、ゲノム編集技術の医療応用における大きな進展として注目されている。
米ホワイトハウスは承認を受けて、「この医学的進歩には、さらなる命を救う治療の開発の可能性が秘められている。他の希少疾患とともに生きる何百万人もの米国人に希望を与えるものだ」と歓迎する声明を出した。
今後、ゲノム編集技術は、鎌状赤血球貧血症以外の難病の治療にも応用されていくと考えられる。
ついに、ゲノム編集の解禁ですね。
これで、多くの病気から、回復することができそうです。
それと同時に、ゲノム編集で、特定の能力を身につけることもできてしまいそうです。
倫理的な問題ですね。