近年、日本国内で、スマートシティ構想が、もてはやされています。スマートシティとは、工場跡地などを利用して、建設される実際の街です。サスティナブル・スマートタウンとも呼ばれます。
国土交通省は、『都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区』と定義しています。また、野村総合研究所は、『都市内に張り巡らせたセンサを通じて、環境データ、設備稼働データ・消費者属性・行動データなどのさまざまなデータを収集・統合してAIで分析し、さらに必要な場合にはアクチュエータなどを通じて、設備・機器などを遠隔制御することで、都市インフラ・施設・運営業務の最適化、企業や生活者の利便性・快適性向上を目指すもの』と表現しています。
内閣府は、スマートシティを「Society1.0(狩猟社会)」、「Society2.0(農耕社会)」、「Society3.0(工業社会)」、「Society4.0(情報社会)」に続く、次世代の社会としての「Society5.0」の事例として、認識しています。
いずれにせよ、スマートシティとは、高度な科学技術を駆使して、築き上げられる街のことを指します。
「ウーブン・シティ」は、トヨタが、静岡県裾野市の工場跡地に建設するスマートシティです。「Woven City」とは、「織られた街」という意味で、街の道路が、網の目のように織り込まれるところを示しています。また、織機メーカーからスタートしたトヨタならではのネーミングです。この街では、CASE(コネクティッド、自動運転、シェリング、電動化)などの技術を導入する予定です。設計は、ニューヨークの第2ワールドトレードセンターなどを手がけた、デンマーク出身のビャルケ・インゲルス氏が、担当しています。2021年2月23日、地鎮祭が行われました。
「Smart City Takeshiba」は、ソフトバンクと東急不動産が、国家戦略特区である東京都港区の竹芝エリアに建設するスマートシティです。ソフトバンクは、この竹芝のスマートビルに本社を移転しました。今後、竹芝地区のモビリティや防災など、生活を便利に変えて行き、ゆくゆくは、竹芝地区と他都市の連携を視野に入れています。ビル内外のデータをリアルタイム活用して、価値ある情報を創出します。
「柏の葉スマートシティ」は、柏市、三井不動産、柏の葉アーバンデザインセンターが、千葉県柏市に建設するスマートシティです。「環境共生都市」「新産業創造都市」「健康長寿都市」の3つのテーマを掲げて、公・民・学の連携によって、オープンなデータプラットフォームづくりを目指しています。
「Fujisawa SST」は、神奈川県藤沢市とパートナー企業の進めるスマートシティです。「SST」は、サスティナブル・スマートタウンの略です。「人」を中心に「くらし起点」という発想で、街づくりをしていきます。街のみんなが、街を育てる「まち親」として、アイデアを出し合って行きます。また、自治体と企業等が、暮らしに関するデータを連携して活用して行きます。
「加古川スマートシティプロジェクト」は、兵庫県加古川市の手がけるスマートシティです。「子育て世代に選ばれるまち」の実現に向けて、情報通信技術を活用して、安全・安心な街づくりを推進しています。見守りカメラを配備して、子供の安全を守ります。EUで開発されたデータ分析技術も利用します。
「スマートシティたかまつ」は、香川県高松市が、推進するスマートシティです。官民のリアルタイムデータを共通プラットフォーム上に集約して、IoTなどを活用して、行政の効率化と地域経済の活性化を目指しています。これまでにも、水位センサーを設置したり、レンタサイクルにGPSロガーを設置して外国人観光客の訪問先を把握したり、ウェアラブル端末で認知症高齢者を見守ったり、ドライブレコーダの記録を分析してヒヤリハットの発生地点を特定したりして来ました。
「スマートシティ会津若松」は、福島県会津若松市の推進するスマートシティです。2011年3月11日の東日本大震災の復興プロジェクトとして、始まりました。「地域活力の向上」「市民生活の利便性向上」「市民との情報共有の促進」の3つの柱からなります。また、それを実現するため、「スマートシティ会津若松推進会議」「スマートシティ会津若松推進会議検討部会」などの体制を敷いて来ました。
「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」は、横浜市、Panasonic、野村不動産などが、神奈川県横浜市港北区綱島に手がけるスマートシティです。色々な企業・自治体・市民が、知恵を結集して街を創っていきます。「パナソニック工場跡地を活用」「企業の枠を超えて技術・アイデアを結集」「社会課題を先取りして、国内外に発信」「行政・地域の新たな繋がりを創出」の4つの柱からなるCRE(Corporate Real Estate)戦略を掲げています。
「横浜スマートシティプロジェクト」は、神奈川県横浜市の推進するスマートシティです。次世代エネルギーに力を入れており、経済産業省から「次世代エネルギー・社会システム実証地域」に選定されました。横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)実証事業を推進しています。
「DATA-SMART CITY SAPPORO」は、北海道札幌市の推進するスマートシティです。「データの地産地消」として、データを登録・蓄積・管理・提供して、街づくりをするプロジェクトです。例えば、オープンデータを用いて、色々なサービスやアプリのアイデアを生み出しています。実際に、ウェブサイトでは、色々なデータを提供しています。
「北九州スマートコミュニティ創造事業」は、2011年〜2016年にかけて、経済産業省が、「次世代エネルギー・社会システム実証事業」として、福岡県北九州市で採択した実証事業です。事業を通して、新しい交通システムの構築・ライフスタイルの変革・市民生活の向上・地域の課題解決などを基盤に街づくりを行います。
「スマートシティさいたまモデル」は、埼玉県さいたま市の推進するスマートシティです。さいたま市の美園地区で、「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」を起点に、プロジェクトを進めています。実際に、「コワーキングスペースの実証実験」「屋外イベントの備品の貸出」など、多くのプロジェクトが、動き始めています。
「FUKUOKA Smart EAST」は、福岡県福岡市の進めるスマートシティです。少子高齢化などの課題を解決しながら、街を持続的に発展させて行きます。例えば、自動運転車の実証実験などをしています。