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コロナワクチンの仕組み・種類(mRNA、ウイルスベクター、組み換えたんぱく質)

目次


  1. ワクチンの仕組み
  2. ワクチンの種類

ワクチンの仕組み


新型コロナウイルスの特徴

新型コロナウイルスの表面には、「王冠」=「コロナ」のような形をした、「スパイク(spike)」と呼ばれる突起がいくつもある。その為、この新型コロナウイルスは、「コロナ」と名付けられた。ちなみに、「COVID19」と呼ばれるは、「CO」が「corona(コロナ)」、「VI」が「virus(ウイルス)」、「D」が「disease(病気)」、「19」が「2019」を示しているからである。この新型コロナウイルスは、このスパイク状の突起部分を人の細胞表面の受容体に付着させ細胞の中に侵入する。この状態が、感染である。こうして、人の体内でウイルスに感染した細胞が増えて行くと、高熱などの症状を引き起こす。

新型コロナウイルス
出典:ウィキペディア

新型コロナウイルスと免疫の仕組みを解説

「ワクチン」を一言で言えば、体内に入って来た新型コロナウイルスの突起にくっつく「抗体」を体内で作らせる為のものということです。予め、体内に「抗体」を作っておき、新型コロナウイルスが、体内に入って来た時に突起に、その「抗体」をくっ付けます。


ワクチンの種類


RNAワクチン

「RNAワクチン」は、一般的に「mRNA(メッセンジャー・RNA)」というものを使います。mRNAは、細胞の中のDNAの情報を核の外に伝えて、たんぱく質を作る基になるものです。「RNAワクチン」は、まず、新型コロナウイルスの遺伝子情報をもとに、ウイルスの表面にある突起のみの遺伝子(mRNA)を作成して、そのmRNAを油でできたカプセルに包み、ヒトに接種します。すると、mRNAの情報の通りにヒトの細胞がウイルスの突起の部分のみ作成し、細胞表面に提示します。それをヒトの免疫細胞が認識し、突起に対する抗体を作ります。そして、本物の新型コロナウイルスが、体内に入ってきた時に、ウイルス表面にある突起を抗体がブロックして、ウイルスがヒト細胞に感染できなくします。

従来のワクチンは、実験室レベルで、増殖させたウイルスを弱毒化または不活性化させたものを体内に入れて抗体を作るというものでした。その為、このmRNA技術で作成された今回の「RNAワクチン」は歴史上初めての試みです。

RNAワクチン
出典:おきのメディカルクリニック
ウイルスベクター

「ウイルスベクター」は、ヒトに対して病原性のない、または弱毒性のウイルスベクターを運び手にして、抗原のたんぱく質の遺伝子を組み込んだ、組み換えウイルスを投与するワクチンのことである。ウイルス自体が、実際にヒトの細胞に侵入して、細胞質で抗原たんぱく質をつくり出すことで、抗体を作り出す。それにより、体内に入って来るウイルスを排除する「液性免疫」と、免疫細胞の1つであるキラーT細胞などにより排除する「細胞性免疫」を引き起こすと考えられている。

運び手となる「ウイルスベクター」には、アデノウイルスやレトロウイルスなどが用いられる。ただし、これまで世界で承認されたウイルスベクターワクチンは、欧州で承認された米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のエボラウイルスワクチンと、中国で承認された中国の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)のエボラウイルスワクチンのみに留まっている。

新型コロナウイルスに対しては、ヒトに感染する際に足がかりとする「スパイクたんぱく質」の遺伝子を組み込んだウイルスベクターワクチンが主に開発されている。

ウイルスベクター
出典:日本経済新聞
DNAワクチン

「DNAのワクチン」は、環状のプラスミドに、抗原たんぱく質の塩基配列を作る情報を持ったDNAを組み込んだものである。基本的には、そのまま裸の状態で投与できる為、投与後はそれ自体が、免疫反応を増強させるアジュバントとして、自然免疫を誘導することができる。それとともに、核内でmRNAに転写され細胞質内で抗原たんぱく質を作ることで、液性免疫だけでなく、細胞性免疫も引き起こすとされている。ちなみに、「mRNAワクチン」に比べ、抗原たんぱく質の発現には、転写と翻訳の2段階が必要となる。

これまで世界では数多くの「DNAワクチン」の臨床試験が行われてきたが、承認されたものはなく、その背景に免疫原性(免疫応答を誘発させる能力)の低さが指摘されている。

DNAワクチン
出典:日本経済新聞
組み換えたんぱく質ワクチン

「組み換えたんぱく質ワクチン」は、昆虫細胞や植物、哺乳動物細胞などで、ウイルスの構成成分である抗原たんぱく質を作り、単離・精製して作るワクチンである。ヒトへの投与後、抗原たんぱく質が細胞外から取り込まれ、ペプチド(たんぱく質の断片)に分解され、主に液性免疫を誘導すると考えられている。

2013年、米国で、昆虫細胞を使ったたんぱく質発現システムを用いた、仏サノフィ(旧米プロテインサイエンス)の季節性インフルエンザワクチン「フルブロック」が承認、販売されており、相当数の投与実績がある。

組み換えたんぱく質ワクチン
出典:日本経済新聞
組み換えVLPワクチン

「組み換えVLPワクチン」は、微生物や昆虫細胞、植物で、ウイルスのゲノムを含まない外殻たんぱく質のみを作り、単離・精製したワクチンのことである。ヒトへの投与後、抗原たんぱく質が細胞外から取り込まれ、ペプチドに分解されて、主に液性免疫を誘導すると考えられている。これまで世界では、B型肝炎ワクチンやヒトパピローマウイルスワクチン(子宮頸がんワクチン)など、複数の「組み換えVLPワクチン」が承認されており、日本を含めて相当数の投与実績がある。

組み換えVLPワクチン
出典:日本経済新聞
不活化ワクチン

「不活性化ワクチン」は、実験室で、ウイルス自体を培養して、ホルマリンや加熱処理、紫外線照射などを施して、ウイルスの感染性や病原性を消失させたワクチンのこと。ヒトへの投与後、ウイルスの成分が自然免疫を誘導するとともに、抗原たんぱく質が細胞外から取り込まれ、ペプチドに分解されて、主に液性免疫を誘導すると考えられている。

ただし、実験室で、ウイルスを培養する必要がある為、ウイルスの病原性に応じ、バイオセーフティーレベルを満たした製造施設が必要となる。これまで世界では、日本脳炎ワクチン、ポリオワクチン、インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンなど、数々の不活化ワクチンが承認されており、日本を含めて相当数の投与実績がある。

不活化ワクチン
出典:日本経済新聞

各社のワクチン

各社のワクチン

引用文献


  1. jmedj
  2. おきのメディカルクリニック
  3. 日本経済新聞
  4. BUSINESS INSIDER

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