最新の国産ワクチンの開発状況をまとめました。結局、いつできるのか? なぜ出てこないのか? アンジェス(大阪大学発のバイオベンチャー)、塩野義、KMバイオロジクス、第一三共、IDファーマ、武田薬品工業などのメーカーの治験・臨床試験・生産体制の状況は、どうなっているのか?
結局、2021年度末に、塩野義とKMバイオロジスクが、国産ワクチンの生産体制を整備中です。また、2022年に、アンジェスの国産ワクチンが、承認されると言われています。
新型コロナウイルスのワクチン開発は日本国内でも進められていて、国産のワクチンとしてはこれまでに2社が実際に人に投与して安全性などを確認する臨床試験を始めています。
このうち大阪にあるバイオベンチャー企業のアンジェスは、国産ワクチンとしては最も早い2020年6月に臨床試験を始め、12月からは対象者を500人に増やして臨床試験を続けています。 この会社は、ウイルスそのものではなく遺伝子を使ったワクチンの一種「DNAワクチン」を開発していて、投与することで体の中でウイルスを攻撃する抗体を作る仕組みです。 ただし、大規模な追加治験を求められ、実用化時期が、2021年中から22年にずれ込む見通しです。
また大阪に本社がある製薬大手、塩野義製薬は12月16日、214人を対象に臨床試験を始めました。 開発しているのは「組み換えたんぱく質ワクチン」というタイプで、遺伝子組み換え技術を使ってウイルスのたんぱく質の一部だけを人工的に作って投与し、体の中で抗体を作り出します。
ただ日本で行う臨床試験には課題があり、欧米や南米などと比べると感染者の数が少なく、臨床試験に参加した人が感染する可能性が各国に比べると低いため、ワクチンの効果を確かめるのは難しいと指摘されています。
日本勢で開発が先行するアンジェスは、タカラバイオなどの参画を得て生産体制を構築。塩野義は、アピとその子会社であるUNIGENと協力し、21年度末までに年間3500万人分の生産体制を整備することを目指しています。23年度の実用化を目指しているKMバイオロジクスも、21年度末までに半年で3500万回分を生産できる体制を整備中。武田薬品は、ノババックスから技術移転を受けて国内生産することになっており、年間2億5000万回分以上の生産能力を構築するとしています。
アストラゼネカは、日本向けのワクチンの多くを国内で製造する方針。ワクチン原液をJCRファーマが製造し、国内での製剤化や流通は、第一三共、第一三共バイオテック、MeijiSeikaファルマ、KMバイオロジクスが担います。第一三共とKMバイオロジクスは、アストラゼネカから提供された原液を使って国内での製剤化を始めています。
各社のワクチンの種類は、以下のようになっています。ワクチンの種類の詳細は、「ワクチンの種類」をご覧ください。